飲食店の早期離職の多くは、入店から1か月以内に起こります。結論は、原因の多くが「聞いていた話と違う」「教えてもらえない」という食い違いにあるということです。定着率を上げる鍵は、採用前の期待値のすり合わせと、最初の30日をどう設計するかにあります。
現場でよく見られる原因は次のとおりです。求人票の内容と実際のシフト・仕事内容にギャップがある。教育担当が忙しく、放置される時間が長い。誰にも声をかけてもらえず孤立感を覚える。評価やフィードバックの機会がなく、成長を実感できない。これらは特別なことではなく、どの店でも起こりうる小さなすれ違いの積み重ねです。
初日は、歓迎の気持ちが伝わる対応を意識します。自己紹介の場を設け、名札やロッカーを用意し、簡単なオリエンテーションを行うだけでも印象は大きく変わります。OJT担当を1人決めておくと、質問しやすい相手が明確になります。1週間後・1か月後には短い面談の時間を設け、困っていることがないかを確認します。フィードバックの際は、まず良かった点を伝え、そのうえで次に試してほしいことを1つだけ伝えると、受け止めやすくなります。
1on1は、次の4項目を紙一枚にまとめておくと進めやすくなります。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 今月やったこと | 本人の言葉で振り返ってもらう |
| 良かった点(店側から3つ) | 具体的な場面をあげて伝える |
| 困っていること | シフト・人間関係・作業のどこかで無理をしていないか |
| 来月の一歩 | 次にできるようになりたいことを1つだけ決める |
この4項目を毎回同じ順番で聞くことで、スタッフ側も「何を話す場か」が分かり、話しやすくなります。
| 指標 | 計算式 |
|---|---|
| 3か月定着率 | 3か月後の在籍人数 ÷ 入社人数 × 100 |
| 1年定着率 | 1年後の在籍人数 ÷ 入社人数 × 100 |
指標は一度出して終わりではなく、入社の時期ごとに継続して記録すると、どの時期・どの募集経路で離職が多いかが見えてきます。
やむを得ず退職が決まった場合も、次回の改善につなげるヒアリングの機会にできます。詰問にならないよう、感謝を伝えたうえで聞くことがポイントです。
ここで出た答えは、個人を責める材料にせず、求人票や教育の仕組みを見直す材料として扱います。
昇給やシフトの優遇について基準をあらかじめ明確にしておくと、スタッフが「続けるとどうなるか」をイメージしやすくなります。例えば「入店時給から、3か月後に一定額、1年後にさらに一定額」といった段階的な昇給の目安を示し、あわせて「対応できる業務が増えたら見直す」という基準を添えると、頑張りが給与に反映される実感を持ちやすくなります。基準が曖昧なままだと、頑張りが給与やシフトの融通に反映されているか分からず、モチベーションが下がりやすくなります。
「まかない・アットホーム」といった雰囲気だけを強調し、実際の忙しさやシフトの厳しさを伝えないまま採用すると、入店後のギャップが大きくなります。採用時点で大変な部分も正直に伝え、そのうえでサポート体制を示すほうが、結果的に長く続くスタッフを採用できます。
飲食業界は他業種と比べて離職率が高い傾向があるとされていますが、具体的な数値は年度や調査によって変動します(参考:厚生労働省「雇用動向調査」)。全国平均を基準にするより、自社の入社人数と在籍人数を継続して記録し、自店の実績で判断することが確実です。1on1は10〜20分、3か月に一度は退職者の傾向を振り返る時間を作ると、改善のヒントが積み重なっていきます。
今在籍しているスタッフの入社日を確認し、直近で入社したスタッフに「困っていることはありませんか」と一言だけ声をかけてみましょう。
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入社ごとに記録を残し、3か月後・1年後の時点でまとめて確認するとよいでしょう。四半期ごとに振り返ると、傾向の変化にも気づきやすくなります。
覚えたこと、困っていること、シフトの相性の3点を中心に、10〜20分ほどで十分です。指摘よりも先に、良かった点を伝えることを意識してください。
初日の迎え方や面談の時間確保など、費用をかけずにできる工夫が中心です。まずは仕組みを整えることから始められます。